私たちが生きるには、タンパク質が不可欠です。特に、牛、豚、鶏などの家畜は、私たちの主要なタンパク質源となっています。
家畜の飼育には、大豆やトウモロコシなどの飼料用作物が欠かせません。しかし、世界人口の増加が続く中で、飼料用作物の増産は限界に近づきつつあります。加えて、気候変動により、農業生産は不安定化しています。今後もこうした状況が続けば、食肉の需要に対して供給が追い付かなくなり、価格が高騰する恐れがあります。もし、そのとき、既存の家畜以外の「第四の選択肢」があれば、需要の集中が回避でき、価格高騰が避けられるかもしれません。コオロギは、飼料用作物に依存せず、環境負荷も少なく、生産効率が高いので、この「第四の選択肢」の有力な候補となるのです(詳細は、<解説>を参照。)。
私たちは、コオロギは「未来のための選択肢の一つ」と考えています。今、コオロギを食べることに、特に意味はありません。しかし、将来、必要になったときに備え、今から技術と知識を蓄えることには、大きな社会的意義があると考え、私たちはコオロギ事業に取り組んでいます。
<解説>
~ なぜコオロギは環境負荷が少ないの? ~
コオロギの環境負荷の少なさは、大きく「変温動物」と「雑食性」という2つの性質に由来します。
牛、豚、鶏は、自分で体温を作り出す「恒温動物」です。一方、コオロギは、体温を外気温に委ねている「変温動物」です。変温動物は、体温を作り出す必要がないので、体重当たりのエネルギー消費量は、恒温動物のわずか1/30で済みます。よって、食べたエサの大部分は体の成長に使われ、少ない餌で大きくなります。
また、コオロギは「雑食性」です。このため、コオロギは、大豆やトウモロコシなどの飼料用作物に依存することなく、捨てられてしまう食品残渣やフードロスだけで飼育できます。しかも、上記の通り、少ない餌で育つので、生産効率が非常に高いです。
このほかにも、コオロギは水の消費量が非常に少なく、CO2の排出量も少ないです。このように、コオロギは、牛、豚、鶏と比較して、少ない環境負荷で、私たちに必要な動物性タンパク質を効率的に作り出すことがでます*。
* 魚も、コオロギと同じ変温動物です。しかし、エサの食べ残しが生じるため、飼料利用効率は必ずしも高くありません。また、魚の養殖は魚粉に強く依存しており、魚をエサに魚を育てていることも課題です。